小児矯正
小児矯正とは

一期矯正とも言われます。成長期に矯正治療を行うことによって歯並びだけでなく顎の正しい成長発育を促すことができます。適応年齢は五歳から十歳ぐらいで、その年齢を超えると成人と同じような矯正治療になります。
歯並びはなぜ悪くなるのか
歯並びが悪くなる理由は一般的に遺伝的要因が大きいとされてきました。しかし実際は、成長発育と口周りの習癖によって歯並びが悪くなる事がわかってきています。
治療方法
一般的に行われるワイヤー矯正やマウスピース矯正の装置とは異なり小児矯正用のマウスピースを日中一時間と睡眠中につけたり、補助的な装置を日中使っていただきます。またそれと同時にお口周りの筋肉の体操やトレーニングを行います。
通常の矯正との
違いについて

- ワイヤー等の装置をつけない分、見た目はもちろん、歯磨きの管理がしやすいので虫歯リスクを上げない
- 口周りの筋肉のバランスをとって自然で綺麗な歯並びを目指す為、その後の後戻りのリスクが少ない
- 歯並びはもちろんのこと、顎の骨の成長を促進する為顔つきの綺麗な発育を見込める
- 基本的に抜歯をしない
- 正しい成長を促すことで全身の健康を促進する
小児矯正を勧めるケース

どんなお子さんに向いているか
基本的にやる必要がないお子様の方が少ないです。
正常な骨格発育の促進や、歯並びが悪くならないようにする予防になります。
骨格に異常が出てしまうと、大人になってからは顎の骨を切るような大がかりな手術をしないと治せないケースもあります。そうならないように、小児矯正で予防してあげることが重要です。
小児矯正が不可能なケース
上顎の成長ピークは7〜8歳と言われており、10歳を超えてくると、特に上顎の成長がある程度落ち着いてきてしまうので、不可能ではないですが治療の成果が出にくいとされています。
また、この治療はご自宅でのご家族とのトレーニングが非常に重要になります。ご家族の方がご多忙でトレーニングに付き添えない場合、十分な成果が得られない可能性があります。
小児矯正で
歯並びが治りきらない場合
スタートが遅かったり、途中なかなか装置の使用やトレーニングができていないと、完全に治りきらない可能性があります。その際は、最後にワイヤーやマウスピースで微調整をする場合があります。
ただその際は基本的に軽度の修正で済む為、抜歯は必要なく、短期間で終了することがほとんどです。
歯並びを悪くする悪癖

- 呼吸
- 舌
- 口唇
- 嚥下
お子様の歯並びを悪くすると考えられている要因は大きく上記の4つがあります。
以下で各ポイントについて詳しくご説明いたします。
呼吸
本来、人は鼻で呼吸するのが自然ですが、0〜6歳のお子様は日常的にスマホや食べ物、アレルギーが影響し、お口がぽかんと開いていて、口で呼吸する癖がついてしまっている可能性があります。
そうなると、お口のまわりの筋肉のバランスが崩れてしまい、次のような影響が出ることがあります。
- いびきや猫背の原因になる
- 虫歯や歯周病、口臭の原因になる
- 前歯が出てきたり、
噛み合わせが深くなる - 顔立ち(アデノイド顔貌)や
発音にも影響が出ることも
口呼吸は、アレルギー性鼻炎などが原因の場合もあるため、歯並びだけでなく、呼吸や習癖を含めたトータルの視点でチェックすることが大切です。
舌
お子さまの歯並びは、遺伝だけでなく、日常のクセやお口の使い方も大きく関係しています。
特に「舌(べろ)」の動きや位置は、歯並びや顎の発育にとってとても重要なポイントになり、上の歯並びは特に舌の形が顕著に表れます。
- 舌がいつも下のほうにある(低位舌)
- 舌で歯を押すクセがある(舌癖)
- 発音が舌足らず・飲み込み方がおかしい
このように、舌の位置・形・使い方は、歯の並びや噛み合わせの形成に深く関わっています。
口唇
日常的にお口がポカンと開いていたり、口を閉じるのが苦手なお子様は、上と下から歯を支える筋肉のバランスが崩れていることが多いです。
このバランスが崩れると、次のような影響が出やすくなります。
- 口が常に開いている
→ 前歯が前に出やすくなる(出っ歯) - 唇を閉じるときに力が入りすぎる
→ 顎の位置がズレたり、噛み合わせに影響 - くちびるの筋力が弱い
→ 歯が内側からの舌の力に押されて、ガタガタになりやすい
本来、くちびる・ほっぺ・舌は、歯並びを整えるための「自然な矯正力」として働いています。
しかし、このバランスが崩れると、歯が動く方向に偏りが出て、歯並びが乱れやすくなるのです。
嚥下
「嚥下」つまり「飲み込み方」もお子様の歯並び大きく関係しております。
本来、食べ物や唾液を飲み込むとき、舌は上あごにピタッとつき、唇や頬の力を使わずに嚥下が行われます。
お子様でも1日に約1000〜2000回嚥下していると言われており、悪い飲み込み方が習慣になっていると、歯や顎に不自然な力がかかり、歯並びに悪影響を与えることがあります。
- 舌で前歯を押して飲み込む
→ 出っ歯やすきっ歯の原因に(舌突出嚥下) - 飲み込むときに唇や頬の力を強く使う
→ 噛み合わせのズレやガタガタの歯並びに(口唇の異常緊張) - 舌の位置が常に低い → 顎の成長が正しく促されず、歯が並ぶスペース不足に
このような誤った嚥下が続くと、せっかく矯正治療をしても後戻りしやすくなることもあります。
小児矯正の流れ
カウンセリング
治療内容、期間、費用についての説明をします。

無料体験
装置を実際につけてみたり、トレーニングをいくつか体験します。

検査
レントゲン、写真撮影、その他様々な資料を取得します。

Take off プログラム
週に1回の通院(2ヶ月間)。
「テイクオフ プログラムチェックシート」によるトレーニングをお願いしております。

治療開始
(Orthotropics プログラム)
月に1、2回の通院(18ヶ月以上)。
拡大装置使用中は2週に1度の通院をお願いしております。

治療終了
資料を再度取り、再評価を行います。

小児矯正装置の種類

マイオブレイス(シリコン製装置)
柔くて取り外し可能なマウスピース型の矯正装置です。
日中1時間の装着と就寝中の装着をお願いしております。
マイオブレイスは顎の成長、舌の位置、呼吸の仕方、顔立ちのバランスを整えるための矯正装置です。

BioBloc
上顎の歯列、骨の拡大成長を促す装置です。
この装置をつける期間は平均3〜6ヶ月程の事が多く、その間は一日中装着します。

フェイスマスク
顎の骨に力をかけて成長方向を誘導する「骨格的な矯正」装置です。
おもに受け口(下の歯が前に出ている状態)の治療に使います。
成長期の子どもに対して、上顎の骨を前に引っ張る目的で使われます。

小児矯正治療を検討されている患者様へ

小児矯正は、単に歯をきれいに並べるだけではなく、顎の正しい成長を促し、健やかな顔立ちや噛み合わせ、そしてお口の機能を育てていく大切な治療です。
特に成長期のお子さまは、骨格や筋肉の発達が活発なため、この時期に適切なサポートを行うことで、将来の矯正治療の負担を軽減することができます。5〜10歳くらいのご年齢がお子さまの成長を促す事ができる唯一の期間です。
少しでも気になる患者様、お気軽にご相談ください。